胡蝶の夢ブログ

周の夢に胡蝶と為れるか、胡蝶の夢に周と為れるかを。

お母さんはどこ?

数年前にTVで見た外国で実際に起きた事件です。

ある朝のこと、保育園に勤める保育士がとある異変に気づいた。いつもキャンセルすることのない家庭の子が連絡もなしに休んだのだ。
不審に思った保育士は、その家族の近くに住む姉に連絡して様子を見に行ってもらった。ところがいくら呼び掛けても家の中からは応答がない。勤務先へ連絡しても出勤していないという。
するとそこへその夫と息子二人がどこかからか車で帰ってきた。キャンプへ行っていたのだそうだ。夫に聞くと「妻はいつも通りに会社へ行ったよ」とのこと。

失踪事件として警察によって捜査が開始されると不審な点が浮かび上がった。

・出勤したという妻はその日、財布も時計も部屋の机に置きっぱなしだったということ。
・夫がキャンプに行ったという場所はキャンプ地とは名ばかりの荒野だということ。
・キャンプへの出発は深夜21時以降、しかも吹雪だったということ。

など挙げられた。

警察は、状況証拠などから一番疑わしい夫に目は向けられていたが、決定的な証拠がなく逮捕に踏み切れずにいた。そんな捜査が難航するなか思わぬところで解決への糸口が見つかった。
ある日、保育園でお絵描きが行われていたときのこと。事情を知らない保育士が母親が失踪した子の描いた絵を見てこう聞いた。

保育士「この絵は何を描いているのかな?」
子「キャンプ!これがお父さんで、これがお兄ちゃんで、これが僕!」
保育士「あれ、お母さんは一緒じゃなかったの?」
子「お母さんは、ここ!」

その子が指差した場所は、車のトランクだった。

本件で妻方の両親から親権について裁判を起こされ、週に一度しか会えない状況に痺れをきらしたのか、夫は子供二人を家に拘束し家ごと爆発して無理心中した。
疑わしきまま事件は幕を閉じた。